「F1既得権益」の崩壊?――キャデラック参入が映し出す「米国資本の力学」、22台体制で揺れる欧州閉鎖モデルとは
2026年、F1は22台体制へ拡大し、キャデラックが参入。欧州の閉鎖的伝統と米国資本の拡大戦略が交錯し、放映権や開催権料を軸とした巨大ビジネスとしての姿が鮮明になった。
資産としてのチーム

ビジネスモデルの転換は、F1チームの資産価値を劇的に押し上げた。今やチームはレーシング集団にとどまらず、市場で高値で取引される金融資産としての側面を強めている。
メルセデスを率いるトト・ウォルフは投資家としての顔も持ち、キャデラックが参入を模索した際には、新チームがF1にどれほどの経済的利益をもたらすか――を厳格に示すことを求めた。参入枠が増えれば各チームへの分配金が薄まり、資産としての評価額を損なう恐れがあるためだ。
この変化は、F1の本質を根底から変えた。かつて欧州は参入制限を競技の質を保つ壁として用いた。しかしリバティ・メディアの運営に移行して以降は、既存オーナーの資産を守る盾へと性格を変えた。かつての閉鎖性は純粋な競技性の維持から、投資資本を保護する手段へと姿を変えたのである。
そのため、キャデラックの参入は、この堅牢な守りを巨大な米国資本が突破した象徴的な出来事といえる。