クマ1頭で「列車も高速も止まる」――数千万円の損失を招く衝突事故、物流網の脆さを克服する新たな防衛線とは
クマによる人身被害は2025年4~11月で230人、死者13人。鹿ソニックのくまドンは低周波で侵入を防ぎ、道路・鉄道の衝突事故や運休を抑制。交通インフラの安定化と地域経済維持に直結する先進的獣害対策が注目を集めている。
クマ被害の深刻化で注目されるくまドン

鹿ソニック(山梨県富士河口湖町)が開発・製造・販売を手掛けるクマ撃退システム「くまドン」が、産業界で熱い視線を浴びている。この製品は低周波音を使い、機器を設置した範囲内に近づいたイノシシやクマを退けることで、人と野生動物の活動領域を切り分ける役割を果たす。
注目すべきは、この獣害対策製品が単体での販売ではなく、包括的なサービス形態で提供されている点だ。専門家による現地調査から、効果的な運用の立案、実際の施工、そして継続的なアフターサービスまでがパッケージ化されており、導入側は維持管理の負担を抑えながら、確実な被害抑止という成果を享受できる仕組みとなっている。
そんなくまドンは、2019年より北海道富良野市の圃場においてヒグマに対する継続的な実証実験を行い、その実効性を証明してきた。また、2020年からは北海道中札内村・剣淵町・岡山理科大学・帯広畜産大学との共同プロジェクトとして、ヒグマに対する継続的な実証実験も行われており、こちらも良好な結果を収めている。
環境省が発表したデータによると、2025年4月から11月末までのクマによる人身被害(人数)の速報値は全国で230人に達し、死者数も過去最悪となる13人という深刻な事態に陥っている。
2025年の「今年の漢字(R)」に「熊」が選ばれた事実は、被害の拡大がいかに社会全体の問題として共有されているかを物語っている。この危機的な状況への対応は待ったなしの課題だが、適切な対策の普及は、交通インフラの安定稼働と地域経済の基盤を強固にする重要な足掛かりとしての側面も持ち合わせているのだ。