残クレは「最強の生命保険」かもしれない――最新モデルで命と家計を守る新しい資産管理とは
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現金主義の衰退と新支払形態の浸透

これまでクルマの保有に関する議論は、総支払額の多寡に終始することが多かった。しかし今、技術の進化は物理的な摩耗をはるかに上回る速度で進んでおり、クルマの価値は鉄や機械から演算能力やセンサーの精度に移りつつある。こうした状況では、昔ながらの価値観に従って長く持ち続けることが本当に合理的なのか、簡単にはいえない。
極端に聞こえるかもしれないが、残価設定ローン(残クレ)はある意味、“最強の生命保険”としての役割を果たしているとも考えられる。少なくとも、その可能性を否定できないのは確かだ。
日本の新車市場でも、支払い形態の変化がその傾向を裏付けている。ジョイカルジャパンの調査によると、2012(平成24)年から2013年にかけて約75%を占めていた現金一括購入は、2021年には56%まで減少した。「残価設定あるいは据置型ローン/クレジット」は2007年以前にはわずか3%ほどだったが、2018年には20%を超え、現在では新車購入者の5人にひとりが利用している。家計が抱える負債の形も、将来の返却や清算を前提としたものへと変わりつつある。
こうした変化は、クルマを資産として蓄える価値観と、技術の陳腐化が激しい製品特性との間に生まれた構造的なずれを示す。消費者がクルマを価値の保存先とは考えなくなった転換点が、ここにある。多額の流動性を固定資産に埋め込むリスクを避ける動きだともいえるだろう。
この現象はネットでも注目された。2025年には、YouTubeで「残クレアルファード 曲」が話題となった。この動画は、2026年1月30日時点で
「950万回以上」
再生されている(破滅チャンネル)。残クレの利用による心理的所有感の強さを象徴する場面だ。走行距離超過や事故歴による追加費用、「一括請求300万円」といったフレーズも登場する。クルマは資産としての枠組みを離れ、更新を前提とする移動のためのサービス基盤へと変化したことが読み取れる。
物理的な寿命は20年近くに達することもあるが、技術の鮮度は3年ほどで大きく低下し、安全性や市場価値に深刻な差が生じる。ここから見えてくるのは、数年ごとにクルマを更新する行為が、単なる支払い手段ではなく、自らの稼働能力と生命を守るリスク管理策になっている点である。