「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結
営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。
内製主義の終わりが示す教訓

2026年という節目で表面化したVWの苦境は、一企業の業績悪化として片づけられる話ではない。本社が全体を細かく管理し、同じ考え方と商品を世界に広げていく。そうしたやり方で長く成功してきた製造業の型そのものが、通用しにくくなっていることを示している。地政学的な分断が進み、技術の変化も早まるなかで、かつては強みだった統制の仕組みが、重たい制約として作用し始めた。自社開発にこだわらず、外部の知恵や技術を取り込もうとする最近の動きは、過去の実績を守るよりも、足元の市場に合わせて生き残る道を選んだ結果だと受け止めるほうが自然だろう。
ここから浮かび上がるのは、すべてを内側で完結させることが、変化の早い時代には大きな不安要因になり得るという現実である。十分な資金力や技術を備えていても、地域ごとに異なる価値観や政治の壁を無視したまま成長を続けることは難しい。VWが進める、現地に判断を委ねる色合いを強めた組織への切り替えは、結果として、これからの多国籍企業が直面する課題を先に引き受けているようにも見える。
かつて世界を席巻した企業が、負担を抱えつつ自分たちのあり方を見直していく過程は、日本の製造業の将来とも重なる部分が多い。効率を重んじた中央主導の体制から、各地の需要や技術を組み合わせていく方向へ転じられるのか。その成否を分けるのは、組織の奥深くに残る成功体験を、どこまで素早く手放せるかにある。VWの試行錯誤は、不確かな環境で事業を続けるために何が問われるのかを、具体的なかたちで示している。