「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結
営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。
トランプ関税が直撃する北米戦略

中国での落ち込みを補う先として期待を寄せた北米でも、政治が生み出した壁がVWの想定を大きく外した。トランプ政権が2025年に導入した輸入車への追加関税は、欧州やメキシコを生産拠点とする同社の供給の流れを直撃した。とりわけ、利益率の高いアウディなどの輸出モデルは、関税負担が重くのしかかり、稼ぐ余地を狭められている。
追い打ちをかけたのが、国内生産を優遇する新法「大きく美しいひとつの法案(OBBBA)」だ。実質的に輸入車が不利な扱いを受ける状況となり、第4四半期の米国におけるEV販売は前年から74%減少した。数字が示すとおり、市場での存在感は急速に後退している。こうした環境のなかで進められている新ブランド「スカウト」への大規模な投資も、純粋な市場開拓というより、関税を避けるために現地で生産せざるを得ない事情が色濃く反映されている。
かつて掲げてきた、世界共通の車台を軸にした効率的なものづくりは、ここでは通用しない。地域ごとに分断された供給の仕組みを積み上げる動きが進み、投下資金は膨らむ一方だ。その負担は、そのまま資金繰りに跳ね返り、VWの余力をさらに削いでいる。