「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結
営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。
中国BEV販売44%減が示す価値転換

1984年の進出以降、40年にわたって最大の収益源であり続けた中国市場で起きている変化は、VWの足元を大きく揺さぶっている。かつては市場シェアのおよそ4割を握り、グループ全体の販売台数の半分近くを稼ぎ出してきた。その存在感は、2025年にバッテリー式電気自動車(BEV)の販売台数が前年から44%減少するという深刻な数字を前に、急速に薄れている。
この失速は、価格競争や景気動向だけでは説明しきれない。消費者が重視する価値が、「ドイツ製」に象徴される堅牢な車づくりから、車内で得られるデジタル体験の広がりへと入れ替わった点が大きい。
車とスマートフォン、周辺機器が違和感なくつながる体験を、シャオミ(Xiaomi)などの新興勢は素早く形にしてきた。一方、ドイツ本社が主導するソフトウェア開発は、現地の利用者が求める変化の速さに追いつけなかった。
自前での立て直しは難しいと判断したVWは、新興メーカーの小鵬汽車(XPeng)から車両基盤の供給を受ける選択に踏み切った。長年の成功を支えてきたハード面の信頼性に固執せず、中国市場の知見を前面に据えるやり方へかじを切った格好だ。ドイツと中国の要素を組み合わせた新しい枠組みは、この市場で生き残るための現実的な方向転換を示している。