「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結

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営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。

5万人削減と工場閉鎖という選択

リビアン R1T(画像:リビアン)
リビアン R1T(画像:リビアン)

 海外で稼ぐ力が弱まるなか、VWはこれまで踏み込めなかった本国ドイツでの大幅な見直しに直面している。2030年までに総額60億ユーロ超のコスト削減を掲げ、その中心に据えたのが約5万人規模の人員削減と、国内工場の閉鎖を含む検討だ。労働組合との強固な関係に支えられ、長く守られてきた雇用や高い固定費の体制は、産業の前提が変わるなかで持ちこたえられなくなった。

 技術面でも、これまでの方針を修正する判断が続く。内製のソフトウェア開発が思うように進まなかった現実を認め、米国の新興EVメーカーであるリビアンに58億ドルを投じ、技術の提供を受ける決断を下した。2027年以降に投入される次世代車が他社の電子アーキテクチャを使うという事実は、機械工学を軸にしてきた製造業者の自己像が揺らいでいることを示す。

 自社ですべてを抱え込むやり方から、外部の優れた技術を組み合わせて価値を生み出す立場へ。そうした変化は、硬直してきた組織文化に外から刺激を入れる意味合いも持つ。痛みを伴う選択ではあるが、避けて通れる段階はすでに過ぎている。

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