「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結

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営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。

利益率5.4%から2.3%への急落

フォルクスワーゲン幹部(画像:フォルクスワーゲン)
フォルクスワーゲン幹部(画像:フォルクスワーゲン)

 2025年第3四半期の決算は、VWの収益基盤が弱っている現実を数字で示した。1月から9月までの累計営業利益は前年同期比で58%減の54億ユーロにとどまり、四半期では5年ぶりの赤字に転じた。

 売上高は一定水準を保っているものの、営業利益率はかつての5.4%から2.3%へと下がり、販売台数の増減が利益に結びつかない局面に入りつつあることがうかがえる。これまで有効だった稼ぎ方が、そのまま通用しなくなっている。

 背景には、高い労働コストを抱えるドイツ国内の生産体制を維持したまま、需要の伸びが鈍る電気自動車(EV)分野に多額の投資を続けてきた負担がある。収益を生まない固定費と先行投資が同時に重なり、経営を圧迫してきた構図だ。

 格付け会社S&Pグローバル・レーティングが2025年12月に見通しを「ネガティブ」へ引き下げた判断も、こうした事情を踏まえたものだろう。市場は、VWのコストのかたちが次の競争環境に十分な対応力を持っていない点を、冷静に見極めている。

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