「ドイツの誇り」が重荷に変わるとき――フォルクスワーゲン利益58%減、20世紀型“自前主義”が露わにした論理的帰結

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営業利益58%減、中国BEV44%減、米国EV74%減――。VWの2025年決算は、内製主義と中央集権モデルが地政学と技術変化の前で限界に達した現実を浮き彫りにした。

世界一律から地域最適への転換

2026年1月23日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)
2026年1月23日発表。主要メーカーの電気自動車(BEV/PHV/FCV)販売台数推移(画像:マークラインズ)

 2025年に表面化した危機が示したのは、ドイツで開発した製品を世界各地で同じかたちのまま大量に売るという、20世紀型の成功の型がもはや成り立たなくなったという現実だ。VWは、本社が細部まで統制する巨大企業のあり方から、地域ごとの市場環境や協業の条件に応じて判断が分かれる体制へと移らざるを得ない段階に入っている。

 中国では現地の技術を中心に据えた開発を進め、米国ではリビアンの技術基盤を取り込む。こうした動きが示すのは、世界を

「一枚岩」

として扱うやり方を手放し、それぞれの地域で最も合理的な選択を積み重ねていく姿勢だ。2026年から2027年にかけて投入される新型車は、外部との協業が実を結ぶのかどうかを見極める節目になる。

 規模を拡大すれば競争力が高まる、という発想が通じにくい時代にあって、組織がどこまで柔らかく変われるかが問われている。地政学リスクが経営の前提条件になった現在、VWが直面する試行錯誤は、海外展開を進める日本の製造業にとっても他人事ではない。世界に広がる事業をどう保ち、どう選び直していくのか。その行方を考えるうえで、避けて通れない先行例になるだろう。

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