なぜ金型「無償保管」は続いたのか――自動車産業と取適法施行【連載】自動車部品業界ウォッチ(5)

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自動車業界はEVシフトの揺り戻しやハイブリッド回帰で変革期を迎える一方、下請け企業に不当な負担を強いる金型問題が相次ぐ。2024~25年には4220個の金型不正保管事例も発覚し、新法「取適法」の施行で監視と保護が強化される。

相次ぐ金型不正と公取委の勧告

サンデンのウェブサイト(画像:サンデン)
サンデンのウェブサイト(画像:サンデン)

「金型」とは金属や樹脂製品を成形するための型であり、自動車部品の製造には欠かせない。しかし、金型の取扱いに関する不正行為がこの一年間で相次ぎ明らかになった。公正取引委員会は下請法に違反する事案について改善と再発防止を求め、勧告を行っている。

 2024年2月、自動車の空調機器を製造するサンデンは、下請け61社に合計4220個の金型を不正に保管させたとして大きなニュースとなった。メーカーや上位サプライヤーが下請けに金型の保管や管理費用を負担させたことが問題であり、長年の商習慣の改善が求められた。しかし、その後も金型の不正取扱いは後を絶たず、トヨタ子会社のトヨタカスタマイズ&ディベロップメントが664個、愛知機械工業が415個、フタバ九州が3733個の金型を下請けに不正に保管させた事例が公表されている。

 これら以外にも自動車部品に関する金型不正の勧告は多数存在する。業界では各社が法令遵守と再発防止を表明したはずだったが、現実には改善が進まず、新たな事案が続発している。10月にはトヨタ子会社のトヨタ自動車東日本、12月にはスズキ子会社スニックにも公取委から勧告が出た。2024年から2025年にかけて、自動車部品メーカーに対する同様の勧告は後を絶たず、業界の自浄作用は働いていない。

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