なぜ箱根駅伝は「国民行事」であり続けるのか? 平均視聴率28%の舞台裏で、トヨタが「水素のセンチュリー」を走らせる理由
正月の風物詩・箱根駅伝は、視聴者約5500万人を集める国民的イベントへと成長した。その舞台裏では、トヨタが提供するEV・FCVなど約40台の電動車が大会運営を支える。競技と技術実証が交差する現場から、日本のモビリティ戦略の現在地が見えてくる。
開発体制と運用ノウハウの蓄積

大会本部車として使われたセンチュリーのFCV仕様について、開発にどれほどの期間を要したかは公表されていない。ベースとなったのはセンチュリーSUVのプラグインハイブリッド車だが、設計段階からFCV化を想定していた可能性がある。短期間で専用車両を用意できた背景には、設計・製造・運用部門の連携があると考えられる。こうした経験は、少量多品種の車両開発を進めるうえで重要な知見となる。
トヨタが提供した約40台の電動車のうち、FCVとEVがほぼ半数を占めた。運行管理では、整備や充電、水素補給といった実務対応が求められる。こうした運用経験は、今後の大規模イベントにも活用でき、電動車を使った運営モデルとして蓄積されていく。
箱根駅伝のコースは、市街地から山間部まで広く及ぶ。これは、水素や電力インフラを実地で運用する機会にもなる。実際の道路環境で電動車を走らせることで、インフラ整備の必要性が社会に可視化される。箱根駅伝は、技術と社会をつなぐ実証の場としての役割も担っている。