存廃揺れる「日本最短私鉄」 わずか2.7km――赤字を“広告費”として支える企業は存在するのか?
全長2.7kmの日本最小級私鉄、紀州鉄道が廃線の瀬戸際に立つ。年間7000万円の赤字を抱え、中国系企業傘下となるなか、譲渡先や存続の行方に自治体と経済界の注目が集まる。
経営者の鉄道愛への期待

となると、年間7000万円を「宣伝広告費」の一部として負担でき、なおかつ信用力やブランド力を求める企業はどのような企業か。逆にいえば、現在の紀州鉄道に近い業態の企業である。
売上規模は1000億円には届かないが、不動産やホテル事業を一定規模で展開している。知名度はそれほど高くないが、将来的に紀州鉄道のポジションを活用できる「伸び盛り」の企業である。
不動産・ホテル事業以外の企業も可能性はあるが、該当する企業はかなり限られるだろう。かつての電鉄資本隆盛期とは異なり、鉄道会社の看板が今後どれだけ信用力やブランドイメージを高めるかは未知数である。
そのため、あくまで「宣伝広告費の一部」としての経営判断とは別に、経営者の鉄道への思いといったヒューマンな要素に頼らざるを得ない部分も出てくる。
そもそも紀州鉄道を残すべきか否かという根本的な議論はさておき、どのような引き受け手が現れるのかには注目が集まる。