存廃揺れる「日本最短私鉄」 わずか2.7km――赤字を“広告費”として支える企業は存在するのか?
全長2.7kmの日本最小級私鉄、紀州鉄道が廃線の瀬戸際に立つ。年間7000万円の赤字を抱え、中国系企業傘下となるなか、譲渡先や存続の行方に自治体と経済界の注目が集まる。
実態は、不動産・リゾート事業の「宣伝広告費」

紀州鉄道は1931(昭和6)年、御坊臨港鉄道として開業した。御坊市の市街地と、国鉄の駅が離れた地域を結ぶ路線として長く運行されてきた。しかし災害やモータリゼーションの進展で、1960年代には一度廃止の危機に直面している。
1972年、鉄道事業に縁のある不動産会社が御坊臨港鉄道を買収し、社名を紀州鉄道に改めた。その後、1979年に不動産・リゾート開発を手掛ける鶴屋産業の傘下に入り、1980年には本社を東京に移転している。
鉄道業界では、買収した会社はいずれも不動産・リゾート事業を展開するなかで、鉄道会社の信用やブランド力を得る目的で赤字の鉄道会社をあえて買収したとされる。鉄道事業の赤字は
「宣伝広告費」
という位置付けである。その後、2021年に紀州鉄道は名称を変えずに、中国系とみられるポリキングの完全子会社となった。ポリキングは東京本社を置き、旅館業などを手掛けるとされるが、詳細や実態は不明である。
現在に至るまで、紀州鉄道の本業とされる不動産・リゾート事業の主な展開エリアは、那須高原、北軽井沢、房総、熱海、箱根、伊豆などであり、和歌山県とはほとんど関係がない。