ホンダが渋谷に「スパイスカレー店」をオープン! 「おいおい…」「ちょっと食べてみたい」――いったい何が狙いなのか?

キーワード :
, ,
ホンダは新型「プレリュード」の発売に合わせ、渋谷で期間限定カレー店を開設。20代の車関心度はわずか32.8%にとどまるなか、都市空間で短時間体験を提供し、ブランド価値と走りの魅力を自然に伝える新手法を試みる。

五感で伝える走行価値

20代の男女400人を対象に行った調査(画像:本田技研工業)
20代の男女400人を対象に行った調査(画像:本田技研工業)

 プレリュードが打ち出す「6つの走り」は、実際に試乗しなければわかりにくい感覚的な価値だ。映像やデジタル広告は視覚情報に偏るため、走行フィールの印象を十分に伝えられない。ホンダは味覚や嗅覚を使って価値を体験させる方法を採用した。

 スパイスの辛さや香り、コクの違いを走行モードの違いになぞらえることで、身体で理解できるよう工夫している。この刺激は映像よりも記憶に残りやすく、車にあまり関心のない人にも特徴や魅力を知ってもらう効果がある。都市空間で短時間に体験できることで、従来の試乗の前段階として機能し、若者の興味を引く。

 都市型施策によって体験が日常の移動のなかに自然に組み込まれることも重要だ。試乗前に身体を使った印象を残すことで、ブランド価値の理解が深まり、都市生活と車の体験がつながる。走行差がわかりにくい電気自動車(EV)時代でも、この方法は自動車の魅力を伝える手法として応用できる。

 プレリュードの初期受注は2400台と発表されているが、大量販売を前提としたモデルではない。重要なのは販売台数ではなく、ホンダが再び「走りで勝負するメーカー」であるというブランドの方向性を若者に印象づけることだ。

 カレー店という手法は、低コストで来場者を集め、SNSを通じて都市全体にブランドの印象を広げられる。ディーラー依存の展示や試乗に比べ、若者が通る都市の動線に直接入り込み、日常のなかでブランドとの接点を自然に作れる。都市空間での接触は、ブランドの哲学や価値を直感的に理解させる役割も果たす。

 この施策は、都市空間でブランド価値を再定義する試みとしても注目される。短時間の体験で走りの楽しさを伝え、メーカーの方向性や価値観を印象づけることが可能だ。プレリュードのカレー店は、ブランド戦略を都市空間に拡張する実験的な事例である。

全てのコメントを見る