赤字2.9億円、ほぼ観光依存…「静岡の地方鉄道」独自戦略で再起は可能なのか?

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大井川鐡道は全長65kmの「鉄道テーマパーク」として観光輸送に依存し、本線運賃収入の96%を占める。しかし鉄道事業は年2.9億円の赤字。その他事業の黒字8328万円が支え、復旧待ちの不通区間を抱えつつも、収益構造の強靭さが際立つ。

観光輸送への依存

観光列車のひとつ、井川線の星空列車(画像:大井川鐡道)
観光列車のひとつ、井川線の星空列車(画像:大井川鐡道)

 静岡県が2025年3月10日に公開した大井川鐵道の基本情報によると、2023年の本線運賃収入は

・定期外:1億6779万8000円
・急行料:1億1093万7000円
・通学定期:661万6000円
・通勤定期:417万4000円

で、合計2億8952万5000円だった。定期外と急行料が運賃収入の

「96.3%」

を占め、圧倒的に観光輸送依存である。井川線の運賃収入は公表されていないが、こちらも観光輸送が大部分であることは間違いない。

 本線の起点はJR東海道本線と接続する金谷駅だが、SLなど観光列車の大部分は、隣駅で車両基地がある新金谷駅から出発する。新金谷駅には大型バスも駐車できる駐車場があり、団体客や個人客の多くはこの駅で乗降する。

 もちろん、JR金谷駅から1駅乗車して新金谷駅で観光列車に乗り継ぐ乗客もゼロではない。しかし観光輸送に限れば、JRとはほぼ切り離された路線といえる。

 この点で大井川鐡道は、一般の地方鉄道でありながら、一般鉄道から離れた場所に立地し、乗客のほぼ全てが観光客という意味で、ロープウェイやケーブルカーに近い存在である。

「総延長65kmの鉄道テーマパーク」

と呼んでも過言ではない。

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