「安く買えるから……」 中古車の“個人間売買”は本当に信用できるのか? 「今売らないと損」という業者より安心? 自由の代償を再考する
中古車の個人間売買は、認知率43%、利用意向52%と着実に浸透。業者手数料回避や価格交渉の自由度から金銭的メリットは大きい一方、契約不履行や説明不足などトラブルも頻発。制度上の監督限界が背景にあり、消費者リテラシーの向上と取引秩序の確立が市場拡大のカギとなる。
取り締まりを難しくする法制度の壁

中古車の個人間売買は、ディーラーや中古車販売店を介さず直接取引できる点が大きな特徴だ。しかし契約や手続きの多くを当事者間で完結させる必要があり、トラブルや誤解が発生しやすい構造となっている。
法律面では、古物営業法や民法が適用されるが、事業者を介さないCtoC取引の場合、特定商取引法など消費者保護の枠組みは直接適用されない。つまり、BtoC取引におけるような手厚い保護が個人間取引には及ばず、
・契約不履行
・説明不足
に対して行政が介入しにくい状況が生まれる。
古物営業法では、中古車やパーツは「古物」と位置づけられ、営利目的で継続的に売買する場合には古物商許可が必要となる。例えば転売を繰り返す場合や、月に3台以上を販売するケースがこれに当たる。一方、自家用車1台を一度だけ売却する場合や不要になった車を手放す場合は許可が不要とされ、行政の監視が及びにくい。この線引きにより、一般消費者による個人間売買は“処分”とみなされることが多い。
実際、消費者庁や警察庁は詐欺など事件性がある場合のみ積極的に摘発する方針だ。しかし契約内容の不一致やキャンセル料を巡るトラブルが大半を占める。国民生活センターによると、2021年度の中古車売却トラブル相談の約87%は
「契約・解約」
に関するものだった。犯罪性が認められなければ、行政は介入せず、最終的には当事者間で解決するしかないのが現状だ。
このように、法制度上の制約と監視の限界が重なり、悪質な個人間売買の取り締まりを難しくしている構造的要因が存在する。