渋滞覚悟でも「マイカー優先」? 秋の行楽シーズンの移動、約6割が「クルマ」を選ぶワケ

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2025年秋の行楽シーズン、20~50代の約6割が自動車を主要移動手段に選ぶ意向を示した。自由度や快適性、体験価値を重視する傾向が鮮明で、体験型観光での自動車の利便性と課題が浮き彫りになった。

自動車選択の実態分析

秋の行楽イメージ(画像:写真AC)
秋の行楽イメージ(画像:写真AC)

 調査結果から、消費者行動の背景にはいくつかの構造的な要因が存在することがわかる。まず、移動の自由度が重視されている。行き先や寄り道を自由に決められることは60.9%が自動車を選ぶ理由として挙げた。公共交通ではダイヤに縛られるため、自由なルート設定が難しいことが制約となる。

 次に、移動中の快適性と心理的負担の回避も重要である。移動中に他人に気を使わず、家族単位で旅行できることを53.3%が重視した。公共交通では混雑や座席確保の不便さが心理的負担となり、旅行の満足度に影響する。

 さらに、体験価値の最大化も自動車選択の要因である。景色や食事のよさを重視する消費者が多く、自動車は移動そのものを体験の一部として設計できる。目的地に到達するだけでなく、移動過程の価値も高められる点が魅力である。

 自動車利用には課題も存在する。人気観光地では交通が集中し、渋滞によって移動時間が長くなり、滞在時間が圧迫されるリスクがある。駐車場需要もひっ迫し、計画の自由度が制約されることがある。移動距離や個別移動の増加により燃料消費やCO2排出が増大し、社会的コストも高くなる。さらに、自動車運転には交通事故リスクがあり、安全管理の責任は利用者にある。

 これらの課題に対する現実的な対策も存在する。交通集中や駐車場不足には、事前予約や混雑予測サービスの活用が有効である。荷物運搬や快適性向上には、宿泊施設や観光地と連携した荷物配送サービスや快適性向上機器の導入が考えられる。観光スポット間の最適ルートをデジタル化すれば、移動時間を最小化しつつ体験価値を保持できる。

 さらに、カーシェア、サブスクリプションの活用により、環境負荷や個人コストの軽減も期待できる。これらを組み合わせることで、自動車利用の利便性と体験価値を最大化しつつ、課題の軽減も可能になる。

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