ロシア制裁が生んだ「市場の混乱」 勃発する原料高騰、国内7割の企業が「価格転嫁できない」という悲劇

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天然資源の供給がストップすることを懸念し、ロシア制裁への参加を明言しない国も多い。日本国内で原材料高騰による懸念は、さまざまな産業で始まっている。

2020年対ロ直接投資額は約2割増

LNGタンクのイメージ(画像:写真AC)
LNGタンクのイメージ(画像:写真AC)

 ロシア・ウクライナ戦争の影響で、日本経済は右肩下がりになっている。ヨーロッパ諸国は北大西洋条約機構(NATO)に加盟しているものの、天然資源の供給がストップすることを懸念し、強い制裁への参加を明言しない国も多い。

 2022年4月24日に決選投票が行われたフランス大統領選でも、ロシアとの関係改善を訴えたマリーヌ・ルペン候補は敗北したものの、41.46%の票を獲得している。日本ではウクライナを支援する声が強くロシアへの制裁が強化されているが、世界の事情は複雑だ。

 日本の対ロ投資は近年、増加を見せていた。日本貿易振興機構(JETRO)が2021年10月に発表した資料では、2020年の日本の対ロ直接投資額は

・4億8900万ドル(前年度比17.6%増)

となっている。

 とりわけ大規模な投資案件となっていたのが、エネルギー資源の安定供給を目的としたロシアにおける石油・液化天然ガス(LNG)の開発プロジェクトだ。サハリンで進められた

・サハリン1
・サハリン2

で生産される石油・LNGは、既に日本で重要な資源となっている。

 広島市に本社を置く広島ガスは、2008(平成20)年から20年契約でサハリン2の天然ガスを輸入。これは同社の年間供給量の半分を占めており、制裁が強化された現在でも安定供給を優先し、輸入を継続するとしている。

 三井物産では2019年、ロシア連邦中部のヤマロ・ネネツ自治管区ギダン半島でLNGプラントを建設・操業する「アークティックLNG2プロジェクト」に参加。開発費の1割にあたる2500億円を投資し、プロジェクトの権益10%を取得している。

 北極圏にあるこのプラントのLNGを輸送するために、三井商船は中国の国有海運最大手・中国遠洋海運集団(コスコ・グループ)と合弁で、砕氷LNG船「ウラジミール・ルサノフ」を建造。さらに2023年までに450億円を投資し、砕氷LNG船を3隻建造するとしていた。

 日本政府は制裁を強化する一方、こうした権益を維持する方針を示しているが、果たしてロシア側がそれを認めるかも不透明なままだ。