「深夜バス」はコロナ後に復活するのか? 都営バス3路線休止の衝撃、時代の行く末を考える
新型コロナウイルス感染拡大で、交通機関のダイヤは大きく変化した。東京では都営バスが2022年4月4日をもって深夜バス3路線を休止している。
コロナ後、深夜帯の利用はどうなるか

ただ感染拡大が終息しても、以前のような深夜の乗客は見込めないのが、大方の見方だろう。なぜならテレワークの普及だけでなく、鉄道会社各社が終電繰り上げを実施しているためだ。大都市圏ではJRから私鉄まで多くの鉄道会社が需要の減少による終電繰り上げを実施している。
実は、鉄道会社での終電繰り上げはコロナ禍以前から提起されていた。終電を繰り上げれば保守作業の時間が長く確保できるため、効率が上がり、人手不足に対応できるためだ。
これに加えて、コロナ禍以前から深夜帯の乗客の減少は指摘されていた。JR東日本の深沢祐二社長は2020年10月の記者会見で
「自分の年代は夜遅くまで働き、繁華街に寄って帰る生活だったが、今は違う」
として、コロナ禍以前から深夜帯の利用者が減少傾向にあったことを語っている(『信濃毎日新聞』2020年10月22日付朝刊)。
元来のライフスタイルの変化で会社帰りに遊ぶ人が減少していたなかで、コロナ禍による強制的なライフスタイルの変更が起こったのが現在の状況だ。
ライフスタイルの深夜化は1980年代以降、長い時間をかけて醸成されてきた。しかし、コロナ禍で一度役割を終えたこのスタイルが、感染の恐れがなくなったからといって、容易に復活するとは思えない。夜遅くても電車・バスが走っていて便利だ――と思うことは、今後もうないのだろうか。