「深夜バス」はコロナ後に復活するのか? 都営バス3路線休止の衝撃、時代の行く末を考える
京都市交通局の危機

コロナ禍での利用者減少による深夜バスの休廃止は全国で相次いでいる。
なかでもインバウンド需要が皆無となった京都市交通局では、大幅な市バス・地下鉄の減便と、路線の休廃止が実施されている。
京都市交通局は2022年3月に実施したダイヤ改正で市バスの大幅の減便を実施。1日の運行本数が70回以上の14路線では4~11本の減便。急行系統の6路線と「京都岡崎ループ」が休止となった。
このダイヤ改正で、深夜バスでは京都駅と阪急桂駅を24時に発車する深夜バス4系統(MN17、MN205、MN204、MN特西3号系統)が廃止となった。休止ではなく廃止が決まった背景は市の財政状況の厳しさに加えて、今後も需要が戻らないと判断したことがうかがえる。
とはいえ、確かにコロナ禍で需要は減ったものの、深夜バスの利用者がゼロになったわけではない。また、感染者が減少すれば需要の回復も考えられる。それでも、多くの交通事業者が今後の需要に悲観的で、休止・廃止に踏み切る背景とはなにか。
背景にある全時間帯での需要減少

最大の理由は、深夜バスのみならず全ての時間帯で需要が減り、運行継続が困難になりつつあるためだ。
例えば、神奈川県ではコロナ禍に見舞われた2020年度、県内主要乗り合いバス事業社11社全てが赤字になっている。まだ発表前の2021年の決算では多少の回復は見られるかもしれないが、コロナ以前への回復は遠い。
赤字の背景や規模はさまざまだが、通勤・通学利用の大きい川崎市交通局の場合、2020年の運賃収入は2019年度比で2割減少。京急バスの場合は半減している。京急バスの場合はドル箱であった羽田空港への空港バス需要が壊滅したことが大きく響いている。
この結果、減便・休廃止も加速した東急バスでは、コロナ禍以前は利用者も多かった渋谷駅発の沿線向け深夜急行バス(宮前平駅・溝の口駅・青葉台駅・仲町台駅・新横浜駅行き)が休止したままだ。
このように、大幅な減少の中で不採算となった深夜バス運行から各社は撤退しているわけだが、休止か廃止かどちらかを選択しているかで、会社の体力だけでなく、コロナ後の需要に対する認識が分かる。