救急車が「タクシー」代わりにされている? 無料搬送もはや限界? 過去最高717万件の出動数を考える
救急車の出動件数は2024年度に過去最高の約717万件に達し、高齢化とともにさらなる増加が予想されている。だが、不適正利用やモラル低下が医療資源の逼迫を招き、救急医療の質と効率が問われている。救急搬送の有料化や先進的な医療MaaSの導入など多様な対策が進む一方で、根本的な解決には至っていない。今こそ、個々が緊急時の対応を見直すことが不可欠だ。
医療リソースの最適配分

諸外国の多くでは、通報の順番ではなく、傷病者の状態を迅速に識別して治療や搬送の優先順位を決めるトリアージを活用している。
国内では、通報時に緊急度・重症度を判断する「コール・トリアージ」が2008(平成20)年から神奈川県横浜市で導入されている。現場で識別する「フィールド・トリアージ」は2007年から東京都で開始された。
毎日新聞の調査によると、都道府県庁所在地や政令市の消防機関の約4割がコール・トリアージを導入している。
総務省消防庁はトリアージ導入の判断を自治体に委ねているが、全国で東京都や横浜市のようなシステムを構築し、救急医療リソースの確保を進める必要がある。
また、自治体には他の医療サービスとの役割分担も求められている。地域の診療所による訪問診療や往診のほか、医療MaaSを活用したモバイルクリニックの普及で救急車の出動抑制が期待できる。
さらに、民間救急車利用者向けの助成金制度の導入で、低所得者や交通弱者の医療アクセスの選択肢が広がる可能性がある。