救急車が「タクシー」代わりにされている? 無料搬送もはや限界? 過去最高717万件の出動数を考える

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救急車の出動件数は2024年度に過去最高の約717万件に達し、高齢化とともにさらなる増加が予想されている。だが、不適正利用やモラル低下が医療資源の逼迫を招き、救急医療の質と効率が問われている。救急搬送の有料化や先進的な医療MaaSの導入など多様な対策が進む一方で、根本的な解決には至っていない。今こそ、個々が緊急時の対応を見直すことが不可欠だ。

救急医療支援の公民連携

 政府は救急医療を支援する取り組みとして、救急安心センター事業を推進している。この事業は、急なケガや病気の際に救急車を呼ぶべきか、すぐに病院に行くべきかを医師や看護師に電話で相談できる窓口である。

 相談内容から緊急性が高いと判断すれば迅速に緊急出動に引き継ぐ。緊急性が低い場合は、受診可能な医療機関や適切な受診タイミングをアドバイスする。電話番号は

「♯7119」

であるが、一部の自治体のみで実施されており、全国展開を目指している。

 また、東京都杉並区や練馬区では定期的に小児救急に関する講座を開催している。講師は小児科医で、子どもの急病時の対応方法を学べる。

 一方で、民間企業も救急医療支援に参入している。愛知県名古屋市のフィルタスは、救急医療補助サービスやドクターカー運行サービスを展開。医師・看護師の業務負担軽減や救急車出動の削減、救急医療体制の再構築が期待されている。

 東京都千代田区のTXP Medicalは、救急現場と搬送先医療機関間のコミュニケーションを円滑にするシステム「NSER mobile」を開発。北九州市や藤沢市、秦野市、鎌倉市などで導入されている。

 全国で医療崩壊の懸念が広がるなか、この分野への民間企業の参入は今後さらに拡大すると見込まれる。

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