「メーカーの努力不足」「魅力がないだけ」 アメ車への感情的反発が全く意味ない理由
- キーワード :
- 自動車
税制と金融が阻む復活

アメ車に対しては「大きい」「燃費が悪い」「税金が高い」という声が多い。だが、見逃せないのは「税制の構造的な偏り」である。日本では自動車税と重量税が排気量・重量に比例して課されるため、3.0リッターを超えるアメ車は年間維持費が国産の1.5リッター車より5万円以上高くなることも珍しくない。
これは、消費者が車両本体価格だけでなく維持費も含めた総所有コストで判断する市場で、アメ車が合理的な選択肢になりにくいことを示す。欧州車はターボ技術やダウンサイジングでこの構造的課題をクリアしてきたが、米国は広大な土地向けに設計されており、制度と設計思想が合致していない。つまり大きいから売れないのではなく、大きい車に不当な課税がされる制度のままで売られているため選ばれないのだ。
アメ車は500万~800万円の高価格帯が多い。それにもかかわらずマイカーローンの金利は年2~3%程度で、審査通過率も高くない。GRO-BELラボの調査によると、日本のローン審査に落ちる人は17%を超え、「通らないかもしれない」という不安が購入意欲を下げている。
一方、米国では所得証明が緩やかで、ディーラーがファイナンスを担う仕組みがあり、低所得者も月額払いで車を所有できる。つまり信用基盤の構造が日本と大きく異なるのだ。「高いから売れない」のではなく、ファイナンスの仕組みが整っていないため手が届かないのが現実だ。
2025年6月、金子賢司FP事務所(北海道札幌市)の調査では、アメ車に強い興味があると答えた人はわずか6%だった。27%がほとんど知らない、32%があまり興味がないと答えている。つまり半数以上がアメ車を比較検討の対象にしていない。これは商品力以前に
「選ばれる権利すら与えられていない」
状況を示す。ディーラー網が薄く、メディア露出も少ないため、アメ車は商品としての可視性が極めて低い。結果として「検討されず、存在しないことになっている」のだ。これはマーケティングや宣伝の失敗ではなく、参入条件の不平等性に起因している。