地方鉄道の半数が運転士不足──それでも“人気職”にとどまる理由とは何か?
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地方鉄道の半数が運転士不足に直面。2023年調査では140社中70社が人手不足と回答し、減便も現実に。職業人気は維持するものの、少子化と労働条件の厳しさが採用難を加速させている。各社は体験イベントを通じた次世代リクルートに活路を見出し始めた。
希少体験ツアー化による収益多角化

鉄道各社は、子ども向け・大人向けを問わず、体験イベントや公開イベントを比較的頻繁に開催してきた。目的はひとつに限らず、主に以下の5点に分類できる。
1.乗客数の増加
運転体験や車両基地公開などのイベントは、鉄道関連施設で行われるため、移動手段としての鉄道利用を自然に促す効果がある。特に家族連れの場合、普段はマイカーを使う層も子どもの要望で鉄道を利用する可能性が高い。さらに、産直市やステージイベントなど一般的な集客イベントと組み合わせることで、相乗効果も見込める。
2.教育的役割への対応
鉄道は、警察や消防と同様に社会インフラの一翼を担う存在であり、小学校の社会科見学に対応する形で、職場公開や体験の機会を提供してきた。イベントというより教育的要請への応答としての側面が強い。
3.関連事業の開発
運転体験や車両基地見学といった「非日常」の体験は、希少性が高くコアなファン層に刺さるコンテンツとなる。これをツアー商品として組み込めば、旅行業としての収益化も可能である。実際、貨物専用線を特別列車で走るツアーなどは高倍率の人気商品となっている。
4.鉄道マニアの行動抑制
近年、一部の鉄道ファンによる迷惑行為が問題視されている。列車運行への支障や近隣トラブルに発展するケースもあり、鉄道各社は公式イベントを通じて一部マニアの「暴走」抑止を狙っていると見られる。
5.鉄道マンのリクルート
本稿の主題はこの点にある。なお(1)や(2)のような子ども向けイベントも、結果的には鉄道に興味を持つきっかけとなり、将来的な採用活動と間接的につながっている。