「大災害」デマで香港便が消えた! 徳島・米子空港、SNSが残した地方創生への深すぎる傷跡

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SNSで拡散された「7月5日に大災害が起きる」との予言をきっかけに、徳島空港と米子空港の香港線が運休となった。予言は結果的に外れたが、地方空港に残されたのは国際定期便を失ったという徒労感だけだった。

夢で見た話が社会現象に

到着ロビーを出てきた香港からの訪日客(画像:高田泰)
到着ロビーを出てきた香港からの訪日客(画像:高田泰)

 問題の発端となったのは、漫画家のたつき諒さんが1999(平成11)年、夢で見た未来の日本を描いた漫画単行本「私が見た未来」。東日本大震災を事前に予見したとも受け取れる内容だったことから、SNSや動画投稿サイトで「予言の書」として注目された。

 2021年に刊行された「私が見た未来完全版」では、2025年7月に巨大津波が日本を襲う夢を見たことが描かれ、その日付が作者後書きで5日とされている。これを受け、インターネット上では他の終末予言と絡め、日本に大惨事が起きることを推測させる動画が多数投稿された。

 騒ぎが大きくなるなか、気象庁は記者会見などで再三、予言内容を「デマ」と断言したが、動画は再生回数を増やす一方。やがて騒ぎはデマの域を超え、現代文明が1999年7月に滅亡するとした20世紀末のノストラダムスの予言を彷彿させる社会現象となった。「私が見た未来完全版」は中国語版が出版されており、香港でもうわさがうわさを呼んでいたという。

 こうした根拠のないうわさはSNS時代を迎え、急速に拡散されるようになった。社会心理学のオルポートの公式では、

「流言やデマは証拠があいまいであるほど人々の憶測を呼び、急速に広がる」

とされる。日中両国とも社会に閉塞感が漂うなか、近い将来の災害を想定することで今の不安から逃れようとする意識がデマを広げたのかもしれない。

 5日が過ぎてもトカラ列島(鹿児島県十島村)の群発地震と絡めた終末予言の動画が次々に投稿されるなか、ネット上では安堵の声やデマ批判、予言が外れたことをネタにした笑い話などさまざまな声が上がっている。だが、国際定期便を失った地方はたまったものではない。

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