ホンダが「大阪」にソフト開発拠点500人体制――なぜ“うめきた”に「第2の心臓部」を置くのか?

キーワード :
,
ホンダが大阪・うめきたに開設した新拠点は、約4,000平方メートルの都市型開発環境。将来500人体制へ拡張予定で、関西圏の高度人材を狙う。CASE・SDV化にともなう業界変革を見据え、地方分散による雇用戦略と産業構造の再編を加速させる先進的な布石だ。

関西拠点が促す人材回帰

「ホンダソフトウェアスタジオ大阪」エントランス(画像:ホンダ)
「ホンダソフトウェアスタジオ大阪」エントランス(画像:ホンダ)

 関西圏と首都圏を比較すれば、年収水準や住宅費用の平均は、依然として首都圏に分がある。だが、

・生活費全体に占める固定支出の比率
・通勤時間
・住環境の質

などを含めて評価すれば、関西圏が提供する居住・労働環境には一考の余地がある。特に、開発拠点が都市中心部に立地する場合、郊外型の長距離通勤を強いられることなく、効率的に勤務できる点は注目に値する。これは、

「職住近接の再定義」

ともいえる。仮に関西圏における開発機能が拡充されれば、現在首都圏に所在する関西出身エンジニアのうち一定数は、通勤・家計・介護・育児といった複合的な事情から、地元への転職を選ぶ可能性がある。こうした動きが連鎖すれば、東京圏への人口集中とそれにともなう都市インフラの過密状況は、わずかながらでも緩和される可能性がある。

 加えて、企業側の視点に立てば、複数都市への拠点配置は、

「採用対象人口の母集団を拡張する施策」

ともなり得る。選択可能な勤務地の幅が広がれば、居住地や家族事情に縛られて働き方を制限されていた層が、新たな就業機会を得ることになる。それは、雇用の包摂力を高め、既存の人材獲得競争とは異なる地平を切り拓くことにもつながる。

全てのコメントを見る