ヘッドレストモニターはなぜ「賛否両論」が絶えないのか? 「タブレットで十分」は本当? 4800億円市場予測を考える

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年平均成長率9.2%で拡大が見込まれるヘッドレストモニター市場。快適性を求めるファミリー層と、合理性を重視するタブレット派の間で意見は分かれる。車内エンタメを巡る「専用機 vs 汎用機」のせめぎ合いが、消費行動と製品開発の今を映し出している

配線と価格が生む導入障壁

タブレット用ヘッドレストホルダー(画像:サンワサプライ)
タブレット用ヘッドレストホルダー(画像:サンワサプライ)

 一方で、ヘッドレストモニターの必要性に疑問を持つ声も多い。なかでも最も多いのが、

「タブレット端末で十分代用できる」

という意見だ。家庭でのタブレット普及率は年々上昇しており、2024年時点で日本の世帯普及率は約36%に達している。世帯主の年齢や家族構成によって差はあるが、40代世帯主では51.6%、子どもがいる世帯では5割を超える傾向がある。

 タブレット用のヘッドレストホルダーを使えば、安価かつ簡単に同様の映像視聴環境が整う。そのため、車内専用のモニターをわざわざ購入する必要はないと考える人もいる。

 ヘッドレストモニターの設置には配線の手間もかかる。給電や映像入力のためにシート裏へケーブルを通す必要があり、見た目を気にする利用者からは敬遠されやすい。価格も1台あたり2万~5万円と安くはないため、コストパフォーマンスを重視する層からは導入をためらわれがちだ。

 安全面への懸念もある。本来、ヘッドレストは追突時に頭部を守り、むち打ちを防ぐための装備である。しかし、モニター埋め込み型を選ぶと、その保護機能が損なわれる恐れがある。さらに、保安基準上、ヘッドレストに鋭利な突起物があると車検に通らないケースもある。取り付けには注意が必要だ。

 このように、コスト、安全性、設置の手間に加え、タブレットなど代替手段の存在が、ヘッドレストモニターの普及を妨げる要因となっている。デジタル機器の普及が進むなか、専用モニターの必要性を再考する動きは今後さらに強まりそうだ。

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