「スーパーチャージャー」はオワコン? 欧州規制と燃費至上主義がもたらした過給機の転換、小型ターボが主流になった理由とは
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構造的な課題とデメリット

スーパーチャージャーがダウンサイジングターボほど普及しなかった背景には、構造的な課題がある。即時過給が可能でアクセルレスポンスに優れるという特性を持つ一方で、現代の自動車開発が重視する燃費性能、軽量化、省スペース性とは相反する面を抱えている。
最大の違いは駆動方式にある。ターボチャージャーが排気ガスのエネルギーを使うのに対し、スーパーチャージャーはエンジンのクランクシャフトからベルトやギアを介して動力を得る。つまり、エンジン自身のパワーの一部を使って過給を行う仕組みだ。
この方式は、低回転域からでも過給が可能という利点を持つ。しかし常時エンジンに負荷がかかるため、燃費が悪化しやすい。実際、同条件下で比べると、ターボ車に比べスーパーチャージャー搭載車の燃費は悪くなる傾向がある。
さらに、スーパーチャージャーは構造上、本体や補機類が大型化しやすい。クランクシャフトから直接動力を得るため、設置に一定のスペースが必要となる。これにより車両の重量増加を招き、運動性能や重量バランスに影響を及ぼす。エンジンルームの空間が限られる小型車では、搭載性にも制約が生じやすい。
軽量化が燃費向上に直結する現代の車両開発において、重量増は無視できないデメリットとなる。
過去には、日産が「マーチ スーパーターボ」でターボとスーパーチャージャーを両方搭載したり、「e-POWER」搭載前の2代目「ノート」でスーパーチャージャーを採用した事例がある。同車では1.2L直3 DOHC NA(無過給)エンジンと、 同じ排気量でダウンサイジングしたスーパーチャージャー付き直噴ミラーサイクル1.2Lエンジンの2種類のエンジンを用意したが、現行モデルではそのシステムは採用されていない。これはコストや効率、信頼性などを総合的に判断した結果と考えられる。
このように、スーパーチャージャーはその作動原理上、燃費、重量、スペースといった観点で課題を抱える。とくに、環境性能とパッケージ効率が厳しく求められる現代の量産車では、採用のハードルが高いままである。