日本の商船は「日本籍」を捨てたのか? 過去50年で激減! 85%が外国籍?日本の海運を蝕む「国籍ロンダリング」の行方とは

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全世界の商船の7割が「便宜置籍国」に籍を置く時代──税制・規制の違いが運航コストを左右し、船籍は経営戦略の要となった。日本も依存度を高めるなか、安全保障や環境対応をめぐり“旗”を選ぶ責任が問われている。

ホワイトリストやブラックリスト

タンカー(画像:写真AC)
タンカー(画像:写真AC)

 船舶の安全規制は国際条約に基づいており、原則として船籍国がその責任を負う。しかし、すべての船籍国が十分な監督能力を備えているわけではない。規制が不十分な場合、事故発生時の対応にも支障が生じ、国際的な混乱を引き起こすことがある。

 1978年、便宜置籍された油タンカーが操舵機の故障によりフランス沖で座礁し、大量の原油を流出させた。この事故により沿岸国が深刻な被害を受け、国際的な対応の不備が問題視された。

 この出来事を契機に、欧州では国際条約に適合しない船舶を排除する必要性が高まり、寄港国による独自の検査・PSC(Port State Control)の重要性が認識された。さらに、検査方法の統一や、各国間での情報共有・活用の必要性も明確になった。

 1982年にはパリMOUが採択され、欧州地域におけるPSCの制度的な枠組みが整備された。1993年にはアジア太平洋地域でも東京MOUが発足し、PSCの取り組みが広がった。

 2016年のパリMOU委員会では、過去3年間の検査や航行停止の実績に基づいて、船籍国の格付けリストが作成された。リストは

・ホワイト
・グレイ
・ブラック

の3区分に分類されている。

 ホワイトリストには、便宜置籍国として知られるパナマやリベリアも含まれており、日本もここに名を連ねている。この格付けリストは、船主が船籍を選ぶ際の判断材料のひとつとなっている。

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