なぜ駅そばは「うまい」のか? 情報過多の現代で「早い・安い・うまい」が刺さる理由! 5月「根の上そば」閉店で考える

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岐阜県中津川市の「根の上そば」が122年の歴史に幕を閉じた。この立ち食いそば店は、長年にわたり駅という特別な場所で多くの人々に愛され続けた。駅そばの魅力は、限られた時間と空間の中で最大の満足を提供する工夫にあり、シンプルで素早い食事が求められる現代の都市生活において、重要な食のインフラとなっている。

最小の快楽が生み出す駅そばの魅力

駅そば(画像:写真AC)
駅そば(画像:写真AC)

 駅そばは、交通の流れ、時間の制約、価格感覚、期待の調整、情報過多の排除、空間を占有しないこと、そして記憶とのつながり──これらの要素が組み合わさって、うまいと感じさせるように作られている。

 これは都市のなかで最小の快楽を提供する食のインフラだ。自動運転車やMaaSの進展で駅の役割が変わっても、短時間・低価格・即座に満足という要素は、他の交通空間でも引き継がれるだろう。

「根の上そば」はなくなったが、その思いは都市のあらゆる場所に残り続けるのだ。

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