鉄道オタクvs鉄道会社、なぜこんなに揉めるのか? 荒れる撮影現場、「撮ってやる」の態度は傲慢過ぎ? すれ違う認識の終着点とは【連載】純粋鉄オタ性批判(2)
承認欲求と「貢献意識」が交錯する鉄道オタクの過剰行動が、現場の安全や鉄道事業者との関係を揺るがしている。全国96社中約8割が赤字という厳しい経営環境の中、鉄道とオタクの「共創」はいかにあるべきか――現場と数字から読み解く。
「貢献意識」の裏にある主観と誤認

筆者は、鉄道の現場ではこうした認識や行動が一部の鉄道オタクの間で共有されているのではないかと感じるようになった。あくまでも一部であり、「大半は穏健派」である。その背景を探るため、さよなら運転や珍しい車両の走行時に発生した「迷惑撮り鉄」に関するネットニュースや報道のコメント欄を調べてみた。
結果として、「このような行為をする人たちと一緒にされたくない」という声が多数派だった。一方で、
「もっとファンサービスを提供すべきだ」
「オタクを敵視するのはおかしい」
「鉄道を盛り上げているのはこちら側だ」
「情報非公開や高額な撮影会参加費はオタクを軽視している」
といったような意見も少なくなかった。これらを整理すると、一部のオタクには
「自分たちは鉄道に貢献している」
という独特の意識が根強くあるといえる。本来であれば、安全を最優先し、赤字の累積やコスト増に苦しむ鉄道事業者の立場を理解する局面であるはずだ。しかし実際には、「自分は鉄道の味方」という思い込みが先行し、
「自分がいるから鉄道は盛り上がっている」
との主張が見え隠れする。こうした歪んだ意識が、現場でのルール軽視や、事業者による現実的判断との衝突を生んでいる。
「オタク = 鉄道支援者」
という構図が、実態とは異なる前提のもとで形成されている。この誤った前提こそが、オタク全体に対する批判や不信感を招いている。