中国EV急速充電「5分革命」の罠! 1440kW競争が招く高コスト、電力網リスク、バッテリー寿命…持続可能な普及は本当に可能か?
中国のEV市場では、急速充電技術の革新が進み、BYDや吉利汽車、ファーウェイが次々と超急速充電技術を発表している。これにより、充電時間の短縮が進む一方で、インフラへの負荷やバッテリー劣化の懸念も浮上している。EVの利便性と持続可能性のバランスが求められるなか、超急速充電の普及に向けた議論が重要だ。
筆者の意見

BYDが発表した5分充電は、確かに衝撃的で革新的な技術である。しかし、短時間でEVを充電できることがすべてのEVユーザーや社会全体が望んでいたことかというと、疑問が残る。
超急速充電網を全国規模で導入するには、巨額のインフラ投資が必要だ。その結果、利用者への課金が高額となる可能性がある。現在でも急速充電の料金は、家庭用充電の2~3倍程度だ。BYDのような1メガワット級の充電設備が普及すれば、EVユーザーに高額な料金が課せられるのは避けられないだろう。
さらに、高出力の充電設備は電力供給網に大きな負荷をかける。日本のように送電インフラが地域ごとに分散し、老朽化が進んでいる場所では、EV充電が集中すると停電や電圧降下のリスクが高まる。短時間での充電という利便性が、安定した電力供給を脅かす事態を引き起こすことは避けなければならない。
また、超急速充電によるバッテリーの劣化も無視できない問題だ。従来のリチウムイオン電池は、高出力や高温状態での充電が続くと劣化が早まり、車両の寿命に影響を与える。バッテリーが劣化すればリセールバリューも低下し、ユーザーにとって不利益となる。
ほかにも、過度な充電によって発生する熱が火災リスクを高めることや、使用済みバッテリーのリサイクル方法に関する懸念も存在する。これらの問題は、現時点では解決されていない。
さらに、郊外や地方に住むEVユーザーにとっては、自宅で夜間充電するのが主流だ。1回の充電で300km程度走行できれば、通勤や買い物の日常使いで急速充電を利用する必要はほとんどない。高額な料金を支払って急速充電を使う頻度は少なく、短時間での充電を必要とするユーザーは限定的だといえる。