「海外で知名度低すぎ」 セントレア開港20周年も“独り負け”の現実! 旅客数は羽田の「1/9」 リニア開業でさらなる危機? 挽回なるか
中部国際空港(愛知県常滑市)は開港20周年を迎えたが、旅客数は低迷している。北米便は運航しておらず、欧州便も夏季ダイヤに限定された1路線のみとなっている。三大都市圏の国際空港の中で、“独り負け”の状況が続いている。
2025年度から代替滑走路工事が本格化

中部国際空港はこれまで1本の滑走路で運営されてきたが、2025年度から代替滑走路の工事が本格化する。一般に滑走路1本の年間発着回数は15万回が上限とされる。中部国際空港の年間発着回数は平均約9万回。このため、
「過剰投資」
と批判する声もあるが、複数の滑走路を持つことは空港の信頼性向上につながり、路線誘致に有利に働くはずだ。
空港内では旅客機を近くで見える「フライト・オブ・ドリームズ」が2018年に開業し、人気を集めている。2019年には隣接地に国際空港直結型の展示場も登場した。旅客機を眺めながらくつろげる名物の展望風呂は2023年にリニューアル。障がい者に配慮した設備は充実し、英国の空港格付け会社から「10年連続で世界一優れた地域空港」と評されている。
地元需要だけでなく、訪日客の受け入れ準備も整ってきているわけだが、海外での知名度不足は簡単に解消できるものではない。愛知県航空空港課は
「官民の知恵を結集し、広域観光ルートの整備など地道な努力を積み上げるしかない」
と厳しい口調。中部国際空港会社は味噌など発酵食品を使った「名古屋めし」を売り込もうと知恵を絞っている。
早くて2034年以降とされるリニア中央新幹線の開業は、中部国際空港に大きな影響を与えかねない。東海道新幹線の「のぞみ」で約1時間半かかる名古屋~品川間が40分に短縮される。旅客の首都圏流出は避けられそうにない。それまでに海外での知名度不足解消や国際線の充実を図って確固たる地位を築いておく必要がある。