「海外で知名度低すぎ」 セントレア開港20周年も“独り負け”の現実! 旅客数は羽田の「1/9」 リニア開業でさらなる危機? 挽回なるか
中部国際空港(愛知県常滑市)は開港20周年を迎えたが、旅客数は低迷している。北米便は運航しておらず、欧州便も夏季ダイヤに限定された1路線のみとなっている。三大都市圏の国際空港の中で、“独り負け”の状況が続いている。
海外航空会社は早期就航に後ろ向き

中部国際空港会社や中部地方の地方自治体、経済界は新規路線就航を海外の航空会社に求めているが、反応は芳しくない。海外の航空会社はコロナ禍の苦境を機材売却で耐えたが、予想より早いコロナ禍の鎮静化で慌てて機材を買い戻している。
機材不足のなか、定期便を復活させるのは、知名度が高く、大きな需要を見込める路線から。日本だと成田、羽田、関西の3空港が優先され、中部国際空港は後回しにされている。中部国際空港会社は
「知名度では東京や京都に太刀打ちできない。簡単に新規路線を開設できそうにない状況だ」
と頭を抱える。
その結果、中部国際空港にある中部空港税関支署で通関した貨物のうち、成田など他の空港から空輸されているものが少なくない。さらに、中部地方住民の中部国際空港利用率が低下しているのも気になるところだ。
中部圏社会経済研究所の調査では、2008(平成20)年に63.5%あった中部地方住民の中部国際空港利用率が2016年で52.7%まで低下した。関東99.2%、関西86.3%の住民が地元の国際空港を利用しているのと大きな差がある。
この傾向は現在もそれほど変わらないようで、北米への出張が多い愛知県刈谷市の自動車関連企業社員(46歳)は
「北米便は羽田か成田を使う。直行便がないのはやはり不便」
と残念そう。
名古屋市周辺の観光地が東京や京都、大阪ほど訪日客を引き寄せられないことも痛い。名古屋市は列車乗り換えだけの素通り状態で、名古屋市観光推進課は
「名古屋の観光地は海外で知名度が低く、海外の観光雑誌などに特集を組んでもらえない」
と肩を落とした。