物流危機 「2024年問題」は序章に過ぎなかった! 2025年以降も深刻化必至? 9万トン規制、CLO選任…荷主が変わらなければ――の現実

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2024年問題により、トラックドライバーの時間外労働に上限規制が導入され、物流業界に深刻な人手不足が予測される。人員減少が続く中、政府は効率化と法改正で対応を強化。これからの物流を支える持続可能なシステムの構築が急務となっている。

新物効法の施行による物流の効率化

物流を取り巻く取引関係(画像:小野塚征志)
物流を取り巻く取引関係(画像:小野塚征志)

 2024年5月に公布された物流改正法(流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律)は、物流効率を中長期的に高めるための政策的措置だ。その最も大きな特徴は、物流改正法に基づき改正された新物効法(物資の流通の効率化に関する法律)で、運送会社をはじめとする物流事業者だけでなく、荷主にも物流効率化への取り組みを義務づけた点だ。

 実際、荷主が物流の効率化を妨げることが少なくない。例えば、荷主が情報漏洩を防ぐために他社との混載輸送を禁止すると、積載率を高める方法がひとつ減ることになる。積載量の最大化を優先するあまり、パレットやフォークリフトを使わず、手作業で荷物を積み下ろすよう指示すると、労働生産性が低下する。また、荷主が指定した時間にトラックが到着しても、出荷準備が整っていなかったり、積み下ろし場所であるバースが混雑して待たされることもある。

 新物効法では、発荷主だけでなく、入荷側である着荷主にも物流効率化への努力義務を課している。日本では、発荷主が物流事業者と委託契約を結び、物流費を支払うことが多い。その場合、物流事業者への委託内容は発荷主との協議で決まるが、実際には着荷主からの指示で契約にない作業をこなしたり、待機させられたりすることがある。物流事業者は直接契約のない着荷主の指示を受ける必要はないが、発荷主との関係を踏まえて対応することが多い。新物効法で着荷主にも努力義務が課されたことは、この状況に一石を投じることになる。

 この努力義務は2025年4月1日から施行される。罰則規定はないが、物流効率化への意識を高めるきっかけにはなるだろう。一定規模以上の特定荷主には、努力義務に加えて、物流統括管理者の選任や、物流の効率化に向けた中長期計画の作成・報告が義務付けられる。特定荷主の指定基準は「取扱貨物の重量が年間9万トン以上であること」が予想される。これは出荷した貨物の重量だけでなく、入荷した貨物の重量が年間9万トン以上であれば該当する。特定荷主に着荷主も対象としたことの重要性が反映されている結果だ。

 特定荷主の指定や物流統括管理者の選任、中長期計画の作成・報告については2026年4月1日に施行される予定だ。まだ1年以上の猶予があるが、大手荷主は自社の取り扱い貨物の重量を確認し、年間9万トン以上であれば物流統括管理者を選任し、中長期計画の作成に取り掛かることが望ましい。

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