JR東・東京メトロ 運賃「10円値上げ」は高いか?安いか? 理由はバリアフリー化も、地方では課題山積
JR東日本が5日、首都圏の一部区間の鉄道運賃を2023年3月から一律10円値上げすると発表した。背景にあるのは、国土交通省による駅のバリアフリー化の促進だ。東京メトロでも7日、2023年春をめどに10円の値上げを発表している。
地方では裁判沙汰も

しかし設置工事が進むからといって、課題は決して少なくない。
JR九州は2017年、赤字解消を理由に遠隔操作システムを導入し、無人化を推進することを決めた。この結果、大分県大分市では市内の8駅が無人化の対象となり、市内の車いす生活者たちが
「移動の自由を妨げられている」
として2020年9月に大分地裁に提訴、裁判が続いている。JR九州が介助の必要な利用者に対して事前予約することを求めたためだ(『毎日新聞』2022年3月6日付朝刊大分版)。
このようなケースは、JR九州以外でも起きている。バリアフリー設備は、設備を必要とする人に最低限必要なものであり、オールマイティーに対応できるわけではない。個別の対応は人の手に依っている。バリアフリー設備は促進される一方、鉄道会社各社の人員の削減・合理化は進んでいる。
それだけでなく、これから作られるバリアフリー設備の検証も欠かせない。近年、首都圏の駅ではエレベーターの設置が多く行われているが、鉄道から遠く離れたところに設置されていたり、地下鉄駅では路線の乗り換えの際、改札を一度出て地上を経由しなければならなかったりする駅も多い。
10円の値上げは高いだろうか、それとも安いだろうか。それはバリアフリー設備利用者へのケアが十分かどうかで判断したいところだ。