JR東・東京メトロ 運賃「10円値上げ」は高いか?安いか? 理由はバリアフリー化も、地方では課題山積

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JR東日本が5日、首都圏の一部区間の鉄道運賃を2023年3月から一律10円値上げすると発表した。背景にあるのは、国土交通省による駅のバリアフリー化の促進だ。東京メトロでも7日、2023年春をめどに10円の値上げを発表している。

鉄道各社に広がる値上げの波

山手線のホームドア(画像:写真AC)
山手線のホームドア(画像:写真AC)

 JR東日本の対象区間は、山手線・京浜東北線などの「電車特定区間」で切符・ICカードともに10円値上げし、通勤定期券では6か月で1420円の値上げになる。電車特定区間は利用者が多く、これまで運賃が低く抑えられてきた(『日刊工業新聞』2022年4月7日付)。

 バリアフリー化のための値上げは、ほかの鉄道会社にも広がっている。

 東京メトロでも4月7日、2023年春をめどに10円の値上げを発表。初乗り運賃は170円から180円になる見通し。同社が消費税増税以外の理由で値上げするのは、営団だった1995(平成7)年以来28年ぶりのことだ(『毎日新聞』2022年4月8日朝刊)。

 国土交通省の統計によると、2021年3月時点で、路面電車も含めた全国の9411駅のうち、エレベーターなどの設備を導入してホームごとに障害者・高齢者が円滑に通行できる経路をひとつ以上確保している駅は5901駅となっている。

 そのうち、「移動等円滑化のために必要な旅客施設又は車両等の構造及び設備並びに旅客施設及び車両等を使用した役務の提供の方法に関する基準を定める省令」第4条に定められた基準を満たす駅は4774駅だ。また、ホームドアを設置する駅の数は統計を取り始めた2006年末には全国で318駅だったが、2020年度末には943駅まで増加している。

 現状、利用者の多い駅ではエレベーターなどのバリアフリー設備は導入されているが、郊外・地方路線では不十分だ。今回の国土交通省の方針変更によって、エレベーターやホームドアなどの設置工事が進むのは明らかだ。