日本のせいにするなよ? 「アメ車」が日本で売れない5つの理由 トランプの批判は的外れ?
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日本で売れない5つの理由

日本自動車輸入組合のデータによれば、メルセデスベンツやBMWなどのドイツ車が年間5万台以上を販売しているのに対し、アメ車の販売台数は1万台余りにとどまり、伸び悩んでいる。
2016年にはフォードが日本市場から撤退し、GM傘下のキャデラックやシボレー、ステランティス傘下のジープなど、米国のデトロイトスリー(GM、フォード、ステランティス)の販売台数も年々減少している。この状況に対して、トランプ大統領は日本がアメ車に不公平な障壁を作っていると主張しているが、アメ車が日本で売れない理由は日本の消費者嗜好や市場環境に深く関連していると考えられる。
アメ車の販売不振には、いくつかの要因が絡んでいるが、まず第一に挙げられるのは「車両価格」だ。日本では輸入車に対して無関税ではあるものの、アメ車の価格は依然として高い。円安による価格上昇が主な原因とされるが、輸送費の増加や販売台数の少なさによるスケールメリットの欠如も影響している。例えば、フォード・マスタング(エコブースト)の車両価格は米国本国では約3万4000ドル(約510万円)だが、日本では約680万円と3割ほど高く、消費者にとって手が届きにくい価格となっている。
次に、「燃費性能」も大きな要因である。日本では燃費のよい車が好まれ、ハイブリッド車や軽自動車が人気を集めている。これに対し、大排気量エンジンを搭載したアメ車は燃費が悪く、維持費が高くなる傾向がある。また、日本のエコカー減税の対象外であることも購入をためらわせる要因となっている。
さらに、日本の「道路事情」も販売に影響を与えている。日本の都市部では道路が狭く、駐車場も限られているため、大型SUVやピックアップトラックなどのアメ車は実用的でないと感じる消費者が多い。その一方で、欧州メーカーは日本市場向けにコンパクトなモデルを投入しており、アメ車は市場適応が遅れているという指摘がある。
また、「ディーラー網」の不足も課題だ。メルセデス・ベンツやBMWなどは日本国内に広範なディーラー網を展開しており、購入からメンテナンスまでのサポート体制を充実させているが、正規ディーラーは少なく、地域も限定的だ。これにより、修理や部品供給の遅れが懸念され、消費者は購入をためらう傾向がある。
最後に、「プロモーション活動」が不足している点も、知名度の低さにつながっている。欧州メーカーはテレビCMやSNS広告を積極的に活用しているのに対し、アメ車の広告は控えめであり、消費者に購入の機会を提供できていない可能性がある。