大黒PA「無法地帯化」の根本理由! なぜ「クルマ好きの聖地」は混乱を招くのか? 違法改造、インバウンド…解決策はあるのか?

キーワード :
, , ,
横浜市の大黒PAは、年間数百万人が利用する高速道路の休憩施設でありながら、「クルマ好きの聖地」として独自の進化を遂げてきた。しかし、その知名度の高まりとともに、違法改造車や騒音トラブル、海外からの無断侵入といった問題が深刻化。経済的にも観光資源としての可能性を秘める一方、適切な管理が急務となっている。秩序を維持しつつ文化として活用するために、求められる解決策とは何か。

自由と秩序のバランス

大黒PA(画像:写真AC)
大黒PA(画像:写真AC)

 大黒PAの問題の根本には、自然発生的なクルマ好きの集まりという性質がある。明確なリーダーや組織がなく、参加者の入れ替わりも激しいため、内部から秩序を維持するのは極めて困難だ。その結果、大黒PAに集まるクルマ好きには

「場を維持する意志」

がない。開業から35年が経過した現在も、新たな問題が発生し、十分に対処できていないという事実は、集まっているクルマ好き自身に問題を解決する力や意図が欠けていることを示している。彼らの多くは単に「楽しい場所」として大黒PAに集まっているだけで、その行動が引き起こす社会的問題についての意識は薄いようだ。

 このままだと、クルマ好き全体が反社会的行動をする

「公共の敵」

として見なされることになる。それは、豊かなクルマ文化を育む上では望ましくない。したがって、当事者たちが問題を解決できない以上、行政や警察の介入が必要だ。結局、いたちごっこを防ぐためには、行政主導による管理された場の提供を検討するしかないだろう。

 例えば、日本最大の同人誌即売会であるコミックマーケットは、世界中から数十万人が集まる巨大イベントだが、一見、思想や価値観が対立する人々が共存する自由な場に見える。アナーキーに見えるが、実際には運営スタッフ(ボランティア)の指示に従うという不文律が、すべての参加者に徹底されている。この共通認識があるからこそ、多様な表現と秩序が共存できるのだ。

 自由な場を守るためには、逆説的だが、明確なルールと一定の強制力が不可欠だ。大黒PAの未来も、こうした「管理された自由」のなかにこそあるのではないだろうか。

全てのコメントを見る