大黒PA「無法地帯化」の根本理由! なぜ「クルマ好きの聖地」は混乱を招くのか? 違法改造、インバウンド…解決策はあるのか?
改造車を美化する英語メディアの影響

近年、インバウンドの急増には海外メディアによる「聖地」としての紹介記事が大きな影響を与えている。米国の自動車専門メディア「オートウィーク(現在はオンラインのみ)」は、1958年に創刊され長い歴史を持つが、2025年2月8日には大黒PAに関する記事「伝説の大黒PAを訪ねて」を掲載した。
「大黒パーキングエリア(大黒PA)は、日本の高速道路の他の休憩所と同じく、驚くほど美味しい食事や飲み物を楽しみ、そのまま旅を続けられる洗練された場所である。しかし、それとは異なり、大黒PAは世界で最も人口の多い都市の近くに位置し、興味深い車を披露する場として定着している」
この記事では、大黒PAに集まる多くの名車が紹介されている。改造車にも触れているが、その記述は次のようになっている。
「当然ながら、ドリフト文化や極端なカスタマイズ文化の代表的な車両も並んでいた。このシルビアは鮮やかな紫色だった」
別のメディア、東京を中心に日本のライフスタイル、カルチャー、旅行を扱う英語メディア「トーキョーウィークエンダー」は、2024年1月19日に「日本が誇るカー・ミーティング:大黒PA」を掲載し、次のように記している。
「金曜と土曜の夜は一般的に混雑し、世界的に有名になった日本の改造スポーツコンパクトカーが多く集まる。こうした夜には、ネオンライトやクローム仕上げのクルマ、そしてなぜか(ありがたいことに)2年ごとの車検を通過してしまうようなカスタムビルドを目にすることができる」
どちらの記事も、ここがPAであることには触れているが、カーマニアが集まること自体については一切問題視していない。特に、
「改造車に対する批判」
はなく、むしろ魅力として紹介されている。さらに、こうしたサイトでは明確なアクセス方法を示さず、アクセスするための困難をクリアすること自体に価値があると伝えようとしている。つまり、どの英語メディアも
・高速道路の休憩所であり観光地ではないという「現実」
・改造車は許容されるべきではないという「常識」
を無視し、価値ある穴場として煽っている。特に歴史のあるクルマ情報誌までもがその態度を取っていることが、マナーを知らないインバウンドを集める原因であろう。