郵政民営化から20年! 日本郵便のトナミHD「800億円買収」に見る物流危機! ユニバーサルサービスの行方はどうなるのか?

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日本郵便によるトナミHDの買収は、物流業界におけるM&Aの新たな転換点となるか。燃料費高騰やトラックドライバー不足が深刻化するなか、自己資本比率50%超の健全経営を維持してきたトナミHDが、日本郵便の傘下に入る意義とは何か。本稿では、買収の背景にある物流業界の構造変化や市場再編の流れを踏まえ、その影響を多角的に分析する。

意外だった買収

日本郵便のロゴマーク(画像:日本郵便)
日本郵便のロゴマーク(画像:日本郵便)

 先日、日本郵便は物流会社であるトナミホールディングス(以下、トナミHD)の買収を発表した。

 トナミHDの中核事業であるトナミ運輸は、富山県に本社を構える大手トラック輸送会社である。2022年の資料によれば、グループ全体で約4900台の車両を保有しており、路線便業界では中位に位置している。

 近年のトラック運送業界は、燃料価格の高騰により厳しい経営環境に直面しているが、トナミ運輸はそのような環境にあって比較的安定した黒字経営を維持し、自己資本比率も50%を超えるなど、財務的な健全性を保っていた。そのようなこともあり、この買収は業界内でも意外性を持って受け止められた。

 本稿では、この買収の背景と今後の展望について考察する。

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