「市が潰れてしまう」 北陸新幹線“小浜・京都ルート”は八方塞がり? 鉄道・運輸機構に南丹市が「待った」…日本の原風景の行方どうなる
京都府南丹市は、北陸新幹線小浜・京都ルートの工事開始を阻止すべく要望書を提出した。小浜・京都ルートの行方は、いよいよ八方塞がりの様相を呈し始めている。
周辺環境への影響を住民が不安視

美山町の基幹産業は昔と変わらぬ農林業だが、自然を生かした観光や移住者の誘致にも力を入れている。しかし、長期間にわたってトンネル工事が続けば、美山川の水質など周辺環境や日本の原風景のイメージに悪影響を及ぼしかねない。
南丹市はこれまで、環境アセスメントの計画段階配慮書、評価方法書に対し、環境への影響を懸念する意見を出している。住民団体も鉄道・運輸機構と話し合いの場を持ってきた。しかし、地元に十分な情報が開示されず、ルート検討で蚊帳の外に置かれている。
南丹市に何らメリットがないことも住民のいら立ちを募らせる。小浜・京都ルートは小浜市の東小浜駅付近に駅が設置されたあと、次の駅は京都市の候補地に挙げられる下京区の京都駅付近か、南区の桂川駅付近になる計画。南丹市に停車駅を設ける計画はない。
ただ、駅が設置されても南丹市は困る。北陸新幹線与党整備委員会から2022年末、美山町にトンネル区間の一部を地上に出し、新駅を作る意見が出された。しかし、南丹市の西村良平市長が
「南丹市に負担が及ぶ。市がつぶれてしまう」
との見解を出したことが、京都新聞に報じられている。膨大な費用負担が発生するからだ。美山町で農業を営む男性(77歳)は「地域にさまざまな悪影響を及ぼしかねないこんな計画は到底受け入れられない」と反発を強めた。西村市長は
「できれば来てほしくないという私の思いは変わっていない」
と記者会見で答えている。