なぜ地方政治家は「交通問題」にダンマリ決め込むのか? 高齢化社会で深刻化する移動格差! 公約集から読み解く“不都合な真実”とは

キーワード :
,
地域交通の活性化が進む中、政治家の公約における交通政策の位置づけは依然として難航している。公共交通の整備には時間がかかり、即効性がないため、選挙での票に結びつきにくい。しかし、生活者の移動環境を改善することは、福祉や地域開発と密接に関連し、社会的な関心も高い。政策実現に向け、業界団体の主導による政治家輩出が今後のカギとなる。

協議会が握る交通計画の未来

公共交通のイメージ(画像:写真AC)
公共交通のイメージ(画像:写真AC)

 現在、地域交通の方針は各地域が主体的に決定する方向へ進んでいる。そのため、区市町村レベルで「地域公共交通活性化協議会」が設置されている。これは、「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」(平成19年法律第59号)第6条第1項に基づき、地域公共交通計画の策定と実施に関する協議を行う機関だ。

 加えて、道路運送法(昭和26年法律第183号)に基づき、地域のニーズに応じた住民の移動手段を確保し、旅客の利便性向上を図る役割も担う。具体的には、地域の実情に即した輸送サービスの実現に向けた協議を行い、「道路運送法施行規則」(昭和26年運輸省令第75号)第4条第2項に規定される機能も併せ持つ。

 協議会の構成メンバーは、

・国や都道府県、区市町村の行政担当者
・学識経験者
・公共交通事業者
・市民(公募による選出が多い)
・NPO
・商工関係者
・道路管理者
・公安委員会・警察
・公共交通事業者の労働組合代表

などが中心だ。自治体によっては、介護福祉団体や移動支援に携わる関係者も加わるケースがある。

 筆者(西山敏樹、都市工学者)もある市の地域公共交通活性化協議会のメンバーを務めているが、年間4~5回の会議が開催され、各関係者の熱心な議論を通じて地域交通の方針が決まる。そして、将来の公共交通の在り方について、活発な議論が交わされながら方向性が定められていく。

全てのコメントを見る