なぜ地方政治家は「交通問題」にダンマリ決め込むのか? 高齢化社会で深刻化する移動格差! 公約集から読み解く“不都合な真実”とは

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地域交通の活性化が進む中、政治家の公約における交通政策の位置づけは依然として難航している。公共交通の整備には時間がかかり、即効性がないため、選挙での票に結びつきにくい。しかし、生活者の移動環境を改善することは、福祉や地域開発と密接に関連し、社会的な関心も高い。政策実現に向け、業界団体の主導による政治家輩出が今後のカギとなる。

政治家の交通政策導入の壁

政治家のイメージ(画像:写真AC)
政治家のイメージ(画像:写真AC)

 地方政治における各党の公約やマスコミの評価を見返すと、医療福祉や都市・地域開発(まちづくり)を掲げる政治家が多い。これらは

「交通と密接に関わる分野」

であり、生活者の関心も高い。移動の権利、すなわちモビリティの確保によって福祉の水準を向上させ、まちの活性化に向けて移動しやすい環境を整える――こうした表現が無難なのかもしれない。

 しかし、こうした政策分野を踏まえても、地方政治の公約に交通政策を明確に位置づけるのは容易ではない。今回の分析を通じて、票につながりにくく、真の政策評価に時間を要する公共交通政策の特性が浮き彫りとなった。

 政治家が公約集の政策分野を一律に決定し、公共交通を必ず記載するように誘導する方法や、交通教育を深化させ、国民の交通に対する意識を変える手法も考えられるが、実現は容易ではない。今こそ、公共交通の重要性を真正面から打ち出し、大胆な政策を掲げる政治家の登場に期待したい。

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