電車内のリュック、もはや「前抱え」も迷惑扱い! 終わらぬ論争に終止符打てるのか? 迷惑行為ランキング常連問題を再考する
都市の鉄道におけるリュックの持ち方が変化している。東京・大阪などの大都市圏で、マナーの変遷が社会の変化を反映し、2024年度の「迷惑行為ランキング」でも「リュックの持ち方」が上位に。混雑した車内でのパーソナルスペース意識の変化や、鉄道会社の取り組みが影響し、今後はインフラ自体がリュックの持ち方を規定する時代が来るかもしれない。
マナーの進化、リュック持ち方の変遷
日本民営鉄道協会が発表する「駅と電車内の迷惑行為ランキング」では、毎年「荷物の持ち方・置き方」が上位にランクインしている。2024年度も7位にランクインし、その具体例の1位は「リュックを背中に背負う」というものだった。この背景には、都市の混雑度が上昇するなかで、人々の「パーソナルスペース」意識が変化していることがある。
2000年代までは、リュックを背負うのが当たり前とされていた。しかし、2010年代に入り、鉄道会社が「リュックは前に抱えるように」と啓発を始めた。2018年には、関西の鉄道事業者20社が協力して大規模なキャンペーンを展開し、啓発ポスターも各所に掲示された。その結果、「前抱え」は公共交通でのマナーとして定着し、前抱え専用のリュックも登場した
しかし、最近では
「前抱えも迷惑ではないか」
という声が増え始めた。SNSでは「スマホを操作するために肘が突き出て邪魔」「胸元のリュックがスペースを圧迫し、乗車人数が減る」といった意見が相次ぎ、2024年度の迷惑行為ランキングでは「リュックを前で抱える」ことが5位にランクインした。
この変化の本質は、「どの持ち方が正しいか」ではなく、
「時代とともに何が迷惑とされるか」
が変わる点にある。そして、マナーの変遷には都市のあり方や鉄道の設計も大きく影響している。