「実現させる気はあるのか」 未着工の「蒲蒲線」計画から浮かび上がる、大田区と東急の深い混迷
蒲田駅と京急蒲田駅を連絡する「蒲蒲線」計画。大田区は2022年2月10日、同線の関連経費約11億9000万円を2022年度予算案に計上した。今後の行く末とは?
JR東日本が一転、プレイヤーに

こうしたことから、同社は2010年代初頭には当時の社長自らが投資家に対しこのスキームを猛烈にアピールするほど、一時は熱を入れていた。
ところが主導する大田区との意見の相違があったからなのか、その後東急の熱量は急速にダウン。一説には前述した「第1期工事」の見切り発車が原因では……との説も。「取りあえず京急蒲田駅までの延伸」では、東急側にあまりメリットがない。それ以前に、そもそも「京急蒲田駅で乗り換え」が、重いキャリーバッグを引きずる空港利用客に対する利便性アップの回答なのか、という疑問も残る。
こうしたことからか、東急は蒲蒲線への思いを徐々にトーンダウンさせている、との指摘もある。事実2018年の中期3か年計画では新空港線を重要施策のひとつに挙げるものの、次の2021年の中期3か年計画ではその文言が消えている。もちろんこれにはコロナ禍による経営悪化も大きく関係し、「大規模投資は取りあえず様子見にしよう」との判断も働いているようだ。
まだまだ二転三転しそうな蒲蒲線。一方で、JR東日本は羽田空港アクセス線を計画している。大井ふ頭を縦断する既存の貨物線を流用し、山手線などとつなげて羽田と都心とを直結しようというもので、すでに工事も開始され、2029年の開業を目指すという。
後から来たライバルに先を越された、東急の羽田空港乗り入れ計画の運命は――。