マイカー共有の夢、なぜ崩壊? 「エニカ」終了の衝撃…オーナーのリスク、利用者の不安、「個人間カーシェア」市場に未来はあるのか?
DeNA SOMPO Mobilityが運営する個人間カーシェア「Anyca(エニカ)」が2024年12月31日をもってサービスを終了。本稿では、Anycaのサービス終了に見る個人間カーシェアの課題と、シェアリングエコノミー全体が抱える問題、そして今後のモビリティ市場への影響について考察する。
個人間カーシェアとは何か

個人間カーシェアは、個人が所有する車を他の個人に貸し出し、必要なときに共有する仕組みだ。従来のカーシェアリングは、企業が管理する車両を複数の利用者が共同で使用する形態が一般的だったが、個人間カーシェアは、いわば「マイカーを活用したシェアリングエコノミー」といえる。
このサービスでは、貸し手となるオーナーが自身の車を専用のプラットフォームに登録し、料金や貸し出し時間、受け渡し場所などの条件を設定する。一方の借り手は、希望の車を選び、オンラインで予約・決済を行い、指定された方法で車を借りる仕組みだ。
オーナーにとっては、使用していない時間の車を貸し出すことで収益を得られるメリットがある。借り手にとっても、車を購入・維持するコストをかけずに必要なときだけ利用できる利点がある。さらに、レンタカーでは取り扱いの少ない珍しい車種や高級車に乗る機会が得られる点も魅力のひとつだ。
しかし、貸し手側には事故や汚損のリスクがともなう。保険でカバーできる範囲はあるものの、車両の価値低下や修理期間中の機会損失など、オーナーの負担となる要素は少なくない。借り手側も、レンタカーとは異なり、整備状態や保険の条件が一定でない場合がある点には注意が必要だ。さらに、シェアリングエコノミー全体が抱える課題として、利用者間の信頼性をどのように確保するかが重要となる。