自動車のリサイクル率、98%からなぜ減少? 車体の「長寿命化」がもたらす意外な落とし穴とは
自動車リサイクル法は、資源循環型社会の実現を目指し、2005年の施行から大きな成果を上げた。しかし、近年リサイクル率が低下し、長寿命化やEVの普及など新たな課題に直面している。自動車リサイクルの次なるステップには、業界全体の連携と技術革新が不可欠だ。
EV普及が生む新課題
一見、自動車リサイクルが限界に達しているように見えるが、実際はそうではない。自動車の寿命が長期化していることは、自動車リサイクル法が目指している取り組みが成功している証拠でもある。
ASRに含まれる樹脂類の処理についても、リサイクルを促進する取り組みが進められている。たとえば、経済産業省と環境省は使用済自動車に係る資源回収インセンティブ制度の導入に向けた検討を行っている。
この制度では、ASRが発生する前段階で樹脂やガラスなどの資源を回収し、ASRの発生量を減少させることが目指されている。これにより、ASRの再資源化が円滑に進み、
・リサイクル料金の低減
・自動車リサイクルの安定的な運用
が期待されている。また、自動車技術の進歩にともない、新たな課題も浮上している。それは、電気自動車(EV)の普及だ。特に、EVに搭載されるリチウムイオンバッテリーが新たなリサイクル対象となり、その処理には特別な注意が必要だ。このバッテリーは発火リスクがあり、またレアメタルを多く含んでいるため、安全な資源回収と再利用が急務となっている。
自動車リサイクル法が自動車メーカーにリサイクルの責任を課したことで大きな成果を上げたように、日本の自動車リサイクルシステムを次のフェーズへ進めるためには、自動車メーカーの役割が重要だ。
現在、多くのリサイクル事業者は自動車メーカーとの強い連携を持っていないため、そのハードルは高い。しかし、自動車リサイクルは製品開発から廃棄に至る自動車の一生を通して取り組む必要がある。そのため、リサイクルの発展や高度化には、どんな技術開発よりも「連携」が不可欠だといえるだろう。