自動車のリサイクル率、98%からなぜ減少? 車体の「長寿命化」がもたらす意外な落とし穴とは

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自動車リサイクル法は、資源循環型社会の実現を目指し、2005年の施行から大きな成果を上げた。しかし、近年リサイクル率が低下し、長寿命化やEVの普及など新たな課題に直面している。自動車リサイクルの次なるステップには、業界全体の連携と技術革新が不可欠だ。

ASR処理の遅れが引き起こす課題

適正処理されたASR(画像:自動車リサイクル促進センター)
適正処理されたASR(画像:自動車リサイクル促進センター)

 課題はこれだけではない。

 自動車の軽量化や多機能化が進んだ結果、使用される原材料に占める非金属の割合が増加してきた。使用済自動車は、解体業者によってエンジン、トランスミッション、触媒、タイヤ、バッテリーなどの部品が取り外され、残りは破砕業者によって破砕される。その後、

・鉄
・非鉄金属類
・ASR(自動車破砕残さ。プラスチック、ゴム、布、樹脂、ガラスなどが多く含まれている)

に分類される。解体と破砕の段階では、重量比で約80%の資源が回収される。そして、破砕後に残るASRが約20%となり、このASRを適切に処理することによって車両全体の90%以上のリサイクルが達成されている。

 しかし、原材料に非金属が増えることによって、このASRに含まれる樹脂類の量が増加しているのだ。ASRの発生量はリサイクル法施行前とほぼ変わらず、そのため従来の金属中心のリサイクル方法では対応が難しくなってきている。

 さらに、2018年には外国でプラスチックなどの輸入規制が強化されたため、輸出されていたプラスチックくずの国内処理が必要になった。この影響で国内処理工場にトラブルが発生し、ASRの処理が遅れる事態も起きてしまった。

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