年間3000億円の経済損失! 慢性的な「熊本県の渋滞問題」、TSMC進出で解決の糸口は見えるか?

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熊本市は年間2890億円の経済損失をもたらす深刻な渋滞問題に直面している。渋滞の原因は、急増する交通量と半導体工場の進出による人口増加。公共交通の改革が急務となる中、熊本市は渋滞を半減させる野心的な目標を掲げ、都市改革に乗り出した。

渋滞が引き起こす年間2890億円の損失

熊本市(画像:写真AC)
熊本市(画像:写真AC)

 渋滞が地域経済に与える影響は、数字で明確に示されている。

 熊本県の試算によると、渋滞による経済損失は、熊本県民ひとりあたり年間最大17万円、熊本市民では年間24万円に達し、総額で

「約2890億円」

に上る。この深刻な経済的影響を受けて、熊本県と熊本市は渋滞対策を最重要課題のひとつとして位置付け、公共交通の整備や道路拡張などの対策を進めている。抜本的な解決策が期待されている。

 渋滞がもたらす経済的なコストは、単なる時間や金銭の問題にとどまらない。それは都市の競争力に直結する重要な要素となっている。特に注目すべきなのは、熊本市がかつて

「九州の中心地」

として栄えていたにもかかわらず、慢性的な渋滞が原因で福岡市に地位を奪われ、未だに回復できていないという点だ。

 この都市間格差は、若者の流出傾向にも顕著に表れている。『熊本日日新聞』2022年6月30日付の記事によると、福岡市への転出者は

「街の華やかさのほか、交通や買い物など利便性の高さにひかれた」
「通勤時にひどい渋滞に悩まなくて済むと考えると、熊本を離れる喜びも正直ある」

と答えている。渋滞が若者の転出を促す要因となっていることは明らかだ。人口流出の要因として、渋滞を挙げる都市は熊本市以外ではあまり見られない。

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